高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成28年11月 Vol.53
■アパート建設にご注意を!
先日、税理士仲間と話をしていると賃貸アパートの空室率悪化の話になりました。神奈川県でも7月に36.66%と過去最悪になったとの記事がありました。日経新聞では「人口減の日本でなぜか賃貸アパートが増えている。2015年の相続税増税でアパート経営が節税策として注目され、それを追い風に建設請負業者が売り込みをかけているからだ。」とあります。いよいよかなりのところまで来たという印象です。相続税の財産評価では事業用の資産は評価を下げられることや借入金があればその分も財産から控除できることなどからハウスメーカー、銀行などから提案されることが多いですが慎重な検討が必要です。不動産投資を業として行っている方などは立地場所など詳しく検討されているので失敗するケースも少ないのですがなんとなく進められ節税目的だけにしている方は失敗する可能性もあります。相続税対策もいいのですが過度な投資などは禁物です。
■バブルのときにも同じことが――
10年前私がこの業界に入って担当したお客様で自己破産した方がいました。もともとお金もちでバブルのときに土地の値段があがり相続税が心配で某地方銀行、それと組んでいた税理士より多額の借金をしてビル建設を進められた結果です。予定どおりにテナントは埋まらず収入が予定通りに入らず結局借金返済できず自己破産されたケースです。銀行は債権をサービサーに売り私が出会ったときはすでになにもできない状態だったのであまりお力になれなかったのが悔やまれます。その経験もあるので過度な相続税対策には注意をしていただきたいとお客様にはいつもお話ししています。相続税対策としてある程度の納税資金を作ることなどは検討が必要ですが、過度に納税額を抑えようとして結局破産してしまうようであればなにもしないほうがましです。
■おいしい話には裏がある!
利回り○%と提案書にありますが当然ながら満室が前提です。空室が増えてくるとマイナスの利回りになることもあります。また利回り保証というのもたまにありますがいろいろと課題はありそうです。おいしい話には裏があるのでご注意を。