高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成29年10月 Vol.64
■資金繰り
黒字倒産という言葉があります。利益は出ているのに資金が足りなくて倒産するような場合です。掛代金が回収できない、在庫の過剰な発注、過大な生産、投資などが原因です。
そういう状態にならないように収入と支出を管理することが資金繰りですべての会社にとって必要な仕事です。数か月先の収入と支出を推測し、過不足をどのようにおぎなっていくかを考えます。商品の仕入れ発注の量やタイミング、売掛金の回収管理、生産や投資金額の決定などが重要な仕事です。資金繰りに関連して在庫の保有金額を売上の○○カ月や〇〇日などで管理します。
私は意見を求められれば常に少なめの在庫にするように話しをします。なんどか在庫の大量発注で倒産に近い状態の会社を見てきています。在庫が少ないと当然一度の売上は少なくなりますが、次の売上までの期間を短縮すればいいのです。つまり回転率を上げるということです。特に海外から船で仕入れるときなどは要注意です。1コンテナでの購入をすれば輸送費が割安になるのでついつい多めに買う人が多いのです。当然売れると思って発注しますが売れなかった場合が大変です。失敗してからでは遅いのでくれぐれも慎重にしたいものです。
売掛金管理も同様です。約束期日に入金されない場合は督促するなどして支払を促します。
資金繰り改善のために以前このようなことをやりました。子会社からの入金日が毎月25日で親会社からの外部への支払日が20日でした。そうすると親会社は入金したお金は当月の支払に充てられず翌月の支払のために少なくとも25日は滞留します。グループ全体での効率化のためには外部への支払日を25日にするか、グループ間の支払日を20日にするかです。支払日の変更は取引先もあるので簡単にはできません。そこで子会社の支払日を20日にしました。そうすると海外のお客様から海外子会社が回収したお金を国内の仕入先に同じ日に使うことが可能となりました。
最後に資金繰りの改善に一番効果があるのはやはり利益です。黒字でも倒産という話なので赤字はなおさら倒産可能性が高まります。税金を払っても残った利益が会社の資金繰りをよくしていきます。