高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成29年12月 Vol.66
■増収、増益、損益分岐点比率
11月15日の日本経済新聞社の記事です。「上場企業は3年ぶり増収、純利益は2年連続で最高を更新する見通し。IT投資など好調な海外需要を取り込む電機がけん引し、資源価格の上昇で商社も高い増収。」「損益分岐点が低下したところに売上高拡大が重なり利益が伸びる」
私たちが日ごろお付き合いさせていただいている中小企業にとってはあまりピンとこない印象があります。なんとなく2006年ごろに輸出企業が一人勝ちだったころを思い出します。ただしあまり「景気が悪いので」という声も聞かないのでやはり景気は悪くないのでしょう。
さて「増収」「増益」という意味ですが増収は売上が増えること、増益は利益が増えることですが、これに関連して「損益分岐点」の解説もありました。
「企業活動で利益がでるかどうかの分かれ目となる売上高の水準のこと。固定費と変動費の合計と一致する状態で利益がゼロとなる水準を損益分岐点売上高と呼ぶ。損益分岐点売上高を実際の売上高で割った数値が損益分岐点売上高比率。この比率が低いほど利益が出やすい収益構造である。比率を下げるためには①固定費を減らす②利益率の高い製品を増やして変動費比率を抑える③売上高を増やす。日本ではリーマンショック後の急激な需要減少と円高が進み、収益性は大きく悪化、損益分岐点比率が高まり、その後は固定費の削減や高付加価値製品の開発により売上高を増やし比率はおおむね低下する傾向で最近は60%前後で推移」とわかりやすく解説されています。
■売上、原価、販売管理費のバランス
変動費、固定費とは管理会計の世界の言葉で通常の毎月の試算表では売上高、原価、売上総利益、販管費に注目してもよいでしょう。損益分岐点と近い計算方法で販売管理費を粗利率(売上総利益率)で割ってみてもよいでしょう。この数値が損益分岐点売上のようなものです。
販売管理費に見合った売上を稼ぐのか、売上にあわせて販売管理費を小さくしていくのか、鶏と卵のような感じです。また売上が少なくても原価率の低い商品も効果的です。会社の収益性を見るのは原価率と経費率、売上の大きさの3つのバランスです。