高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成31年1月 Vol.79
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
■財務予算の作り方
2か月にわたりキャッシュフロー(CF)実績の作り方でした。今回は予算ならびにキャッシュフロー(CF)予算の作り方です。3月決算の会社であれば年明けぐらいから予算策定作業が始まります。
前2回を見ていただいた方はもうお分かりと思いますがPLとBSがあればCFの作成ができます。そこでCF予算の作成の前に月別のPL予算と月別のBS予算を作成します。PL予算は売上、原価、売上総利益、経費予算の作成です。皆様もよく作られると思います。
難しいのはBS予算です。売掛金や在庫を売上の何カ月(何日)に設定するか、仕入れ債務も同様です。固定資産やその他の負債なども実績を見ながら設備投資計画などを作成して数値を作成していきます。BSの項目が埋まってくると資金が足りるか足りないかが見えてきます。過不足を借入金の増減で補います。そこまでできれば自動的に期末の現預金残高も計算されます。
PLとBSができれば、そのつなぎとしてCFが自動的に作成可能です。その算式は前回の直接法のCFの作り方のとおりです。エクセルなどで簡単に作成可能です。私も財務で社債発行時などの目論見書や全社の資金計画策定などでこれらの実務を行い、その後は子会社のサポートなどでもこれらの仕事をしました。予算策定のソフトなどもありますが、エクセルなどでも十分作成可能です。
さて売上の予算の策定ですが、いろんな軸で検討することが重要です。全体で前年比5%増などとすることもありますが、どんぶり勘定はよくないです。商品や事業別、地域別などマトリクスで売上計画を作っていきます。そうしないと実績と予算の比較も合計での比較しかできません。このときに事業戦略などの議論を社内で行います。売上を伸ばすための投資計画、固定費計画なども検討します。
次に粗利です。商品や事業特性ごとに粗利率は異なるのでこれも細かく見ていくことが重要です。反対に経費予算のほうがざっくりでよいかもしれません。もちろん経費の見直しをして無駄を省く作業なども必要ですがあまり細かいことに時間を使いたくないですね。
次は投資予算です。設備投資などです。通常利益と償却費が営業キャッシュフローです。営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加えた過不足を財務キャッシュフローで補います。そこで資金調達計画が出てきます。長期の借り入れがよいか、短期の借り入れがよいかなども事業計画に応じて検討します。予算の作成は経理や財務の腕の見せ所です。