高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和1年6月 Vol.84
■消費税軽減税率
いよいよ令和元年10月から消費税率の10%への引き上げと軽減税率制度がはじまります。消費税が上がり生活の負担が増えますが、軽減税率により会社を経営されている方、事業をされている方は実務上もさまざまな対応が必要となります。私たち会計事務所も仕事が増えてとても大変です(涙)
軽減税率は酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行される定期購読される新聞が対象です。マスコミはなぜ新聞が軽減税率かなどとはもちろんいいません。飲食店でもテイクアウト、宅配等などは軽減税率となります。おもちゃ付きお菓子のような一体資産については一定条件のもと軽減税率対象となります。
実務上、まずは売上のほうですが、軽減税率対象品目を確認し、軽減税率対象品目の売上がある場合、請求書や領収書にその旨を記載するとともに税率の異なるごとに合計した税込金額を記載します。そのためレジや会計システムなどへの対応が必要です。
仕入のほうは売上に軽減税率対象品目がない会社や事業者の方も、仕入れや経費の支払で軽減税率対象品目がありますので、税率ごとに会計システムへの入力が必要です。同じコンビニで買い物をしてもリポビタンDは清涼飲料水ではなく医薬部外品で10%、オロナミンCは清涼飲料水で8%となります。さらにコンビニ店内飲食を宣言すればオロナミンCも10%です。
次に軽減税率対策補助金というのもあります。軽減税率制度への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等の方にはA型からC型までの3種類の軽減税率対策補助金の制度があります。A型は複数税率対応レジや券売機の導入支援、B型は電子的受発注システムの改修等支援、C型は請求書管理システムの改修等支援です。税収が足りないので消費税を引き上げるのになぜお金を使わなければならない仕組みを導入するのか疑問はありますが制度としてあるので受給できる可能性のある方は投資の際には確認ください。
景気の先行きも心配ですが、残念ながら決まった消費税増税と軽減税率対応をせざるを得ないですね。
また補足ですが消費税は本来預かりもので預かった消費税を事業者が国に治めるのですがこの負担感が増えています。5%から8%の引き上げでも増えましたが、10%となるとさらに増えます。どうしてもいったん預かった消費税を事業資金として使ってしまいいざ納税のときに苦労するというのが実態ではないでしょうか?消費税納税資金だけを別口座という方もいますがあまり現実的ではなく、むしろ毎月経理をしっかり行い、毎月積みあがっている消費税預かり額をきっちり把握することにより資金繰り準備などを行うということが大事です。