関税を考える|横浜市港北区鶴見区で税理士は 株式会社CFO 高橋和徳税理士事務所

関税を考える|横浜市港北区鶴見区で税理士は高橋和徳税理士事務所

高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。

事務所通信

令和1年10月 Vol.88

■関税を考える

米中貿易戦争が続き、第2次世界大戦前の保護主義、ブロック経済に近いというようなことも耳にしますが、そもそも関税とはどのようなものでしょうか?

関税とは輸入品にかかる税金です。自国の産業保護の考えが基本にあると思います。海外から安いものが入ってくることにより特定の自国産業がやっていけなくなることを防ぐのが目的です。幕末の開国のときの不平等条約では関税自主権がなく、明治になってからようやく関税自主権を回復したなどとも歴史で習いましたね。

一方ではTPPなど関税を減らす自由貿易協定も始まります。TPPにより輸出が増えるというメリット、消費者としては輸入品が安くなるというメリットがありますが、農家を中心に輸入品との競争が増え、デメリットを受ける人もいます。

さて海外に目を向けるとTPPを最初から推進していたシンガポールなどは自由貿易で有名で関税の対象品目も非常に少ないです。ところでシンガポールは車に関税はかかりませんが、別の名目での税金がとても高く日本で160万円のカローラが現地で800万円もします。車は輸入しかないので実質関税に近い性格です。狭い国土で車の台数を制限しなければならない事情もありますが、統制をかけながら、きっちりと税金も取っているのでとても賢い国です。

昔リカードという学者がいました。リカードはそれぞれが得意な分野のものを作り自由に貿易をすることによるメリット、比較優位論があります。関税はそれに逆行します。特定の産業の保護だけを目的に高い関税を設定するとその産業の国際競争力がなくなり産業そのものも衰退することもありえます。

■実務の注意事項

輸入時に商品代金を過小申告することにより関税を低くする会社がありますが調査があれば必ずごまかしが判明します。日本の国で関税のかかる品目は実はかなり少なくなっているのですが関税のかかる品目で仕事をされている方にとってはせっかく安いコストでの生産を求め、海外で委託生産しても輸入時に関税が高いのでコストが思ったほど安くならないのです。

しかしながら調査で過少申告が判明すると複数年の不足関税と付随するペナルティを払わなければなりません。その結果、廃業に追い込まれる方もいました。関税そのものの議論とは別ですがぜったいに輸入申告時にアンダーバリューをしてはいけません。関税のコストは必ず販売に転嫁すべきで、それで事業が成り立たないのであればその事業をやめるべきです。

関税品目の選定への不満も当然あると思いますが法律なので仕方ないです。今回は関税の話ですが税金はそのときにきっちりと払っておかないと後が怖いというお話でした。

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