高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和1年12月 Vol.90
■社長の終わり方
最近は終活が世の中で流行っているようです。いろんなことを整理して迷惑をかけたくないというのが主目的のようです。同じことは会社の社長にも当てはまります。会社の社長の終活にとって重要な要素の一つは会社の財務状態です。つまり借金が返済できるかどうかです。中小法人の場合はほとんどの場合、社長が借金の保証人です。
社長の終わり方としては、①子供、従業員等への事業承継、②M&Aによる事業売却③解散・清算④破産などによる廃業の4つがあります。
①の事業承継が理想で、少し規模の大きな会社であれば②の事業売却もあります。これらの場合は会社が存続するので従業員も働き続けることが出来ます。後継者がいない、事業継続が不可能であれば③の解散・清算の選択もあります。
④の破産だけは避けたいですね。破産の場合、会社が借入金を返済できないので社長が代わりに返済しなければなりません。社長が返済できないときは社長個人が自己破産となってしまいます。そのためにやめたくてもやめられない社長が多いのも事実です。
死ぬまで社長をやめられない場合もあります。そのときには遺族も困ります。会社が借金を返済できればいいのですが、返済できない場合には遺族は相続の放棄をしなければならないこともあるのです。相続放棄により借金返済義務がなくなるからです。ただしそのときには家や他の資産も相続できないので遺族は大変なのです。
④の破産が起こる理由はシンプルです。赤字経営が続き、純資産がマイナスになり、会社に借金返済の原資がないことによります。そのため会社は黒字化、内部留保の積み上げによる純資産の拡大が必要とされます。投資を行うときや運転資金のために借金をするときも必ず返済計画をきっちりたてて、その実行を行うのです。借金があるのはいいのですが、返済原資があるかどうかです。
短期的に見れば固定費を上回る粗利を稼げているかどうかです。粗利を増やすことが難しければ固定費を早めにけずりましょう。時間がたつと固定費の負担が効いてきます。
またキャッシュフローでは営業キャッシュフローが投資キャッシュフローを上まわっているかどうかなどです。投資時期には投資キャッシュフローが大きくなることもありますがその後数年でその分も回収しなければなりません。
後継者を探すことと後継者が引き受けてくれる財務状態を作っていくことが会社を存続させる条件です。事業承継税制などもありますが、それよりも重要ではないかと思います。
いつかは社長をやめなければなりません。ご本人、ご家族、従業員みんながハッピーとなる社長リタイアメントができるよう時間をかけて取り組みたいですね。