高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和2年1月 Vol.91
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
■国際会計基準とソフトバンク
年末に少し国際会計基準の話を聞きました。外資のお客様がいらっしゃいますので国際会計基準も勉強しなければなりません。
私たちが普段見ている会計では売上などの収入から仕入、経費などの費用を控除して税前利益を計算し、そこから税金を控除した当期純利益を計算します。また会社の所有する資産や負債が貸借対照表に記載されます。その差額が純資産であり株主の持ち分です。通常利益が増えると株主の持ち分も増加します。もちろん利益が増えると通常は預金や売掛金などの資産も増加します。
国際会計基準(IFRS)の特徴は「資産負債アプローチ」という資産負債の公正価値の測定に重きをおいているとのことでした。資産負債を時価評価しその増減額が会社の純資産額の増減額ということでなんでも時価評価ということになります。ただし資産に大きな含み益や含み損がない会社はあまり影響がないという理解です。個人的には理解不十分ではありますが国際会計基準はかなりマニアックな印象です。
国際会計基準の特徴としてよく言われているのが、「のれん」の評価です。「のれん」とは企業買収のときに発生する買収価格と買われる会社の純資産と差額です。例えば純資産1億円の会社を3億円で買った場合は差額の2億円がのれんです。日本基準ではこれを20年以内に償却していき価値を下げていきますが、国際会計基準では償却しません。反対にその会社の価値が大きく下がったときに一括して減損を行い大きな損失を生じさせます。
日本で国際会計基準を採用している会社は約200社とのことでしたが、そのなかにソフトバンクもあります。ソフトバンクはM&Aなどでも目立っていますが、毎年決算でのれんの時価評価をしなければなりません。ヤフーやアリババでは巨額の資金をソフトバンクは手に入れましたが、その後のWE WORKやウーバー、ゾゾタウン、ARMなどへの投資に対する毎年の決算での時価評価が興味深いです。
これらの会社の買収時の純資産と買収額の差額が「のれん」としてバランスシートに残っています。会社の経理担当者や監査法人は毎年決算のときに事業計画の評価を行うのでとても大変です。
ちなみにソフトバンクの有価証券報告書を少し見ましたが280ページもあり、とても複雑で理解できませんでした。ソフトバンクの純資産は9兆円ですが、資産に計上されている「のれん」も4兆円ありました。大きすぎてもはや理解不可能です。
私の昔の上司ですでに亡くなられた方ですが90年代の後半にヤフーの監査役をされていました。今もその人が生きておられたら、現在の巨大なソフトバンクを見てどのように思われるかと思いました。