高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和2年2月 Vol.92
■会計とは?
前月に国際会計基準を少し記載しましたが、日常の経理、会計についてもう少し考えてみたいと思います。
私たちはお客様の会社の経理、会計を手伝うのが仕事です。すべての会社は年に1度は決算を行い、税務申告を行わなければなりません。会社には当然営業を始めいろんな仕事があります。経理も仕事の一部ですが、いろんな仕事があるなかで、どうしても後回しになりがちです。そのため、なかなか義務としての経理から抜け出せません。
経理は会社の羅針盤で会社という船がどこに向かっており、今どこにいるのかを把握するためのツールですが、実際にはひどい場合には1年間経過して決算期日がすぎてから1年分の帳簿をつけるというケースもあります。こうなるとますます苦痛になります。
ただし放置しておき税務申告もしないと某有名タレントのようになってしまいますので、すべての会社がなんとか期限内に決算と税務申告を行うのです。ここでいう経理、会計は主として対外的なものです。会社法や税法の要件を満たすためのものです。正しい利益を計算し適正な税金を計算するのが目的になっています。
かなりの労力をかけて義務だけの経理を行うことからなんとか抜け出せないだろうかと思います。まずは月々帳簿を記帳して業績把握をすることから始めたいですね。自社で試算表を作成されるのもよいですし、規模の小さな会社では私たちが帳簿作成してもよいと思います。どちらでもいいのですが定期的に業績を把握することが重要です。
そして簡単にできることは前年との比較です。前年に比べて売上、利益などが増えていればいいのですが、そうでなければ対策が必要です。また月々きっちり行うことで年に1回の決算の作業なども楽になります。
理屈っぽく言えば対外的なものは財務会計、社内の経営目的のものは管理会計というような言い方をすることもありますが、定義はともかく、少しでも月次の試算表などを見ていただければと思います。粗利率はどのように推移しているか、経費は増えていないか、売掛金や在庫はどうなっているかなどを見るだけでもいろんなことが確認できます。
もっといいのは年度初めに予算を作成することです。月別予算などを策定し、実績と比べなぜ差が出たかを考えます。予算が間違っていることもありますし、経営環境がかわることもあります。
対外的な理由のみの経理を社内のための経理に変えることができれば大きな進歩です。
昔からパナソニックの経理、京セラの経理は創業者の考えが織り込まれており有名です。立派な会社は立派な経理に対する考え方があります。時代は変わっても本質は変わらないのではないでしょうか?消費税軽減税率などでますます手間が増えたこともあり、最近はITによる経理の合理化などが話題になり、本来やるべきことがおざなりになっているのではと危惧しています。