高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和3年4月 Vol.106
■睡眠ビジネス
先日の新聞報道で「帝人、睡眠テック市場開拓」とありました。寝具の下に敷いて心拍や呼吸を把握できるセンサーで、購入者は当面無料で健康指導が受けられるようです。
私は2年ほど前から帝人のCPAPという睡眠時無呼吸症候群の治療機器を使用していますが、その分野では帝人が国内首位だそうです。寝るときに鼻にマスクのように装着し無呼吸になると酸素が送り込まれる仕組みです。私は寝ているときに呼吸が止まっていることがあるようなので、それを友人に相談すると友人がCPAP使用者でいろいろと教えてくれました。一晩入院し無呼吸の回数を測定し、一定以上の回数の場合は保険適用にもなります。最初は抵抗がありましたが今では毎日の生活にかかせないものです。
私のまわりは「CPAP教」ではないかと思うくらい信者が多く皆様満足して使っています。これはビジネスとしてもすぐれもので医療機関から機器を貸与されていますが、ユーザーは毎月使用料を医療機関に支払います。帝人は医療機関から収入を得ているはずです。健康事業は毎日の数値の計測やその対応などが重要です。そのため毎日の使用に対し課金できる仕組みです。今回の商品は医療機関との関係で培ったノウハウを生かし直接消費者向けのサービスのようです。
睡眠の悩みを持っている人も多いようですが、これらを改善するような機器やサービスはこれからますます増えていくことでしょう。最近、別の会社でトイレでも健康状態を測定するという記事もありましたが家庭での継続的な健康測定がますます大きな市場になっていきています。
■帝人はもともと素材産業
さてこの帝人ですがもともとは繊維の会社です。多角化の一つがヘルスケアです。また別の会社ですが私も愛用しているユニクロのヒートテックがありますが、これを共同開発したのが東レです。この商品も出たときにはある人は「ハイテクババシャツ」が出たといっていましたが、今や欠かせない商品です。
帝人も東レも繊維会社が多角化しています。航空機などの製造にはこれらの会社の炭素素材が欠かせないようです。事業再構築補助金なども始まりましたが世の中の変化に対応した事業の再構築の成功事例が素材産業ではないかと思います。また世の中に役立つものを作るモノづくりは日本人の得意分野なので個人的には素材産業の会社には興味を持っています。
今回の話題は、会社は環境変化に応じて変わっていかないといけないこと、世の中の役に立つ商品サービスの提供が必要ということを改めて認識しました。変化への対応を行い、社会課題への対応をしている会社が生き残る会社と思います。