高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和3年6月 Vol.108
■コロナ無利子無担保融資の申請期限延長
日本政策金融公庫などの政府系金融機関からの3年間実質無利子融資の期限が、令和3年6月末までの予定が12月末まで延長されました。融資を受けるには条件がありますが、合致すれば3年間無利子でお金を借りられるので有効活用したい制度です。
■借入は簡単、返済は難しい
以前、「資金調達コンサルタント」という人に会ったことがありますが、私は資金調達コンサルタントに頼ることは少し疑問です。銀行からお金を借りるのにはいろんな手続きが必要ですが、自力で借りられない人は、返せないのではないかと思うからです。お金を借りることは難しくなく、返すのが難しいのです。
また同じ話で恐縮ですが、借金を返すには会社は利益を出さなければならないのです。利益のうち約30%は税金として流出しますがその残った70%が返済原資となる資金の増加です。逆にいえば税金を払わなければ借金も返済できないということです。
私もこの業界で10年以上いますが最初のころは「会社で税金を払いたくないので、利益を出さない」という社長もいらっしゃいました。私は「利益を出さないと借金は返せないので利益を出しましょう」といつも同じ話の繰り返しです。
お金を借りても事業での必要な投資は行うが無駄なことにお金を使わないのが基本です。お金を借りるとついつい使いすぎるという会社も見てきました。またひどい例では銀行から借りたお金を社長に貸出するなどという会社もあります。これはもっとも危険なパターンです。お金を借りた社長はまた個人でも使ってしまい、会社に返済することが難しくなります。これを解決するために「役員報酬を引き上げましょう。ただし手取りは従来と同じにして残りを借入金返済に回しましょう。」となんども言ってきましたが、これも挫折してしまうことが多いです。
私がこの業界に入ったころには中小企業はほとんど赤字と言われたことを覚えています。本当に厳しく赤字の会社もあれば役員報酬が高いために赤字の会社もあります。役員報酬が高く社長個人でも資産が蓄積されていればよいのですが、そうでない場合は会社も社長個人もだれもお金がない状態となり、銀行への借金だけが残ってしまいます。社長も年々高齢になっていき、会社をやめたい場合も借金があればやめられないのです。従業員に会社の経営を譲りたくても大きな借金があれば引き受けてもらえません。いつまでたっても社長はやめられないということになります。
このようにならないように借りたお金で投資をして、利益を作り、税金も払い、残ったお金で借金を返済していくというあたりまえのサイクルを回しましょう。
今回は借金は簡単、返済は難しいというお話でした。