高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和3年7月 Vol.109
■ウッドショックと海上運賃ショック
最近お客様から聞いた話です。一つは「ウッドショック」でもう一つは「海上運賃ショック」です。他にも「半導体不足」による自動車の生産調整の影響を受けている会社もあります。コロナが長引き厳しい状況が続く会社も多い中、今度はコロナが引き金となったこれらの不足が会社経営に大きな影響を与えています。
ウッドショックは建設関係のお客様からの話で日本では3月ごろから顕在化したようです。とにかく木材が手に入りにくい、高いということです。アメリカではコロナの影響で住宅需要が高まり、2020年夏ごろからすでに始まっていたようです。そこにコンテナ不足なども重なり日本にも波及したようです。木材の先物価格が4倍にもなったという記事もありました。
海上運賃ショックは日本の食品を海外に輸出するお客様から聞きました。これもひどいときは安い時の4倍の価格にもなっているということで困っておられました。もちろん価格に転嫁したいところですが、その結果売れなくなってしまうこともあるので悩ましい問題です。
中小企業にとってはこれらの材料や費用の価格高騰が経営に与える影響は非常に大きいです。今回のコロナの影響はいろんな分野で形を変えて現れています。
これらの材料やコストの価格変動の対応としてどんなことをすべきか少し考えてみました。一つの案として多めに在庫を持っておくという案もあります。これは反対に木材の価格が下がりだせば高く仕入れて安く売るということになり現実的ではありません。似たような話で海外から物を買うのに為替変動の影響があります。そのために長期間の為替予約をしておくという選択もあるかもしれません。有名は話では「沈まぬ太陽」でも出てきましたが昔のJALが長期為替予約をした失敗の話もあります。
ではどうすべきでしょうか?市場変化にはすみやかに対応していくのみです。運送会社の社長が数年前フューエルチャージが出始めたときに状況を説明してお客様に納得してもらうしかないといわれていたのを思い出しました。
素材の価格、為替変動などいろんな外的要因を事業に反映していくのです。
商社のように薄利多売の会社では特に物流費の占める影響は大きいので海上運賃に関しては毎回の見積もりで必ず採算が取れているかを確認することから始めましょう。
今回はどちらも価格が4倍というびっくりする話でしたが、事業を続けるにはこれらの変化を受け入れて対応せざるを得ないということでした。残念ながら市場の変化を常にみながら敏速な対応をとるべきということぐらいしか思いつかないです。