高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和3年8月 Vol.110
■我が社の筆頭株主は日本銀行!?
長い間、株式持ち合いが日本的経営の一つとされてきました。特に銀行が企業の株を持つことが日本の特徴でした。近年海外の投資家の圧力などもあり株式持ち合いもかなり減ってきています。ところがこの10年の間に日銀がいつのまにか筆頭株主となった会社が増えました。リーマンショック後の景気対策、株価対策、金余りなどによるものです。
ゼロ金利が長く続き、お金もどんどん発行しますが、余剰資金となり運用するものもなくETFなどのインデックス株式を購入している印象があります。最近の株高の理由の一つにもなっていると思います。
東洋経済オンラインによると2021年2月末で日銀の保有しているETFの簿価は35兆円で時価が50兆円だそうです。東証一部の時価総額が735兆円でなんとその7%を日銀が保有しているとのこと。アドバンテスト24.9%、ファーストリテイリング20.5%、TDK20.3%など発行済株式の20%を超える会社もあります。
コロナで経済状態も相当悪いにもかかわらず株価だけが高値を続けているバブルの様相ですが、この先の出口はどうなるのでしょうか?
日銀がこれらの株を持ち続けるのか、売却するのかなどです。売却すれば需給が悪化するので株価下落の要因になります。日銀が国債を引き受けることも考えられないことだったのが、市中から買い入れることにより実際には引き受けているのと同じ状況になり、さらに株式を保有するなど考えられないことが起こっています。
日銀がお札をどんどん発行し、市中に供給しながら、一方では国債や上場株をどんどん買い進め10年が経過しました。このままでは円の価値が下がり、どんどん円安になる要素がありますが、他国も同様にどんどんお金を刷っているので相対的な為替相場で円が思ったほど弱くならないのかもしれません。
そうすると結局円や他国通貨もお金の価値が下がらないとつじつまが合わなくなります。インフレの芽があり、株式や一部の不動産などで価格高騰しているのでしょう。
銀行が企業の株式を5%以上持てないという5%ルールがありながらなぜ日銀はいいのか不思議です。ちなみに日銀はジャスダックに上場されているということをご存じでしょうか。日銀の大株主は55%所有している日本国です。
またコロナによる税収減、さまざまな補助金の支出など財政悪化に歯止めがかからない状況が続きます。後世への問題の先送りにならないかが心配です。
では私たちはなにをすべきでしょうか?お金の価値は上記の話では下がっていくかもしれませんが、やはり少しづつでも貯えをしたいです。少したまると円のお金だけに依存するリスクヘッジとして投資も検討してもよいかもしれません。もちろん投資は自己責任ですが。