高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和4年1月 Vol.115
■「日本の復活を願って/桐渕利博」
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。先日、シンガポール時代の恩師から1999年発行の上記の本を送付いただきました。コロナ禍で外出自粛しているなか古い本を読みなおしているとのことでした。その本の著者は故人ですが私が入社したときの上司で常務取締役理財本部長だった方でした。
当時はバブルの影響も残っていた時代で多少危なっかしい資金運用やデリバティブなども身をもって体験できたのもその方のおかげです。大蔵省出身で民間企業に移られたユニークな方です。その後ヤフーの監査役もされた国際派の方でした。まだソフトバンクが今のような巨大企業になる前ですが、孫さんに見込まれたのでしょう。
私もこの方からはいろんな影響を受けたのが懐かしくその本を早速読みました。今もある日本経済新聞社夕刊の「十字路」などに執筆されたものをまとめて「日本の復活を願って」という本を出版されていました。
ちょうど平成が10年経過した今から20年前に言われていたことですが、今読んでも古くはなくそのとおりと思えることが多いのです。以下少し紹介させていただきます。
「日本に起こっている構造変化とは、①豊だが低成長な経済への移行、②経済の情報・サービス化、③開放的市場経済への移行、④人口の高齢化などを指す。また世界に起こっている構造変化とは、①情報技術革命(第3次産業革命)、②アメリカ的な価値、規範、文化、市場経済ルールを中核とする経済のグローバル化、③これに伴う大競争(メガコンペティション)の出現、そして④環境問題などの深刻化とグローバル化である。また、このような変革に対応するための外科手術(構造改革)とは、変革後の世の中に合ったシステムを構築することである。それはまた、日本を新規産業・企業が次々と育ち、有能な日本人・企業はもとより、優秀な外国企業や外国人にも魅力ある国にすることでもある。具体的には第一に、日本の政治、司法、行政、財政、税制、経済・経営関連法制、年金及び福祉などのセーフティネット、教育など各種の社会インフラを新しい情勢に合わせて大変革することである。各種規制の撤廃・緩和は、その中心の一つであろう。」
残念ながらこの20年の間にはなにか問題が起これば対処療法的な法律ばかり作られていて、むしろ規制強化の印象です。法律さえ作ればなんとかなるという雰囲気すら感じられます。社会の大きな変化に合わせた規制緩和からは程遠い印象です。
桐渕さんも国際派ですが、人一倍愛国心の強い方でした。今からでも遅くないので変わらなければ日本の復活はないと改めて思うきっかけになりました。インボイス制度や電子帳簿保存法の概要を3か月連続記載しましたが、そもそもこれらで国や社会のなにがよくなるのだろうかと本当に思います。法律を作る人はなぜこれらが必要かをみんなにわかるような説明が求められると思いますがいかがでしょうか?