高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和5年3月 Vol.129
■インボイス制度見直し
いよいよインボイス制度開始まで約半年になりました。開始前ですがいくつか見直しが入っていますので紹介させていただきます。
2割特例
当初3年間の限定ですが、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合は、納付税額を2割に軽減するという措置です。原則の計算方法では預かった消費税から支払った消費税を引いた額が納税額ですが、今回の2割特例は預かった消費税の2割を納税額とすることができます。
これは免税事業者が課税事業者になった場合の特例で、もともと課税事業者であった者には適用がありません。免税事象者のインボイス登録が進んでいないため、3年間優遇しインボイス登録事業者を増やしたいという趣旨です。
少額特例(仕入税額控除のインボイス保存要件の緩和)
インボイス制度後は課税仕入れについてはインボイス番号の書かれた適格請求書がないと仕入税額控除をとれないのが原則ですが、基準期間(通常2年前)の課税売上高が1億円以下の事業者は6年間の間、支払対価が1万円未満の課税仕入れの場合には一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除を認める経過措置です。
ただし基準期間の売上高1億円超の会社や1万円以上の支払対価には対象外のため、基本的には適格請求書を入手すべきです。いつもお願いしていますがクレジットカードの明細書では証明書にはなりません。必ず適格請求書や必要事項が記載されたレシートの入手のくせをつけましょう。
飲食店の手書き領収書には税率やインボイス番号などが記載されていない可能性もあるので手書き領収書ではなくレジからのレシートを入手保存してください。
返還インボイスの交付義務の緩和
これは振込手数料が引かれて入金される場合の対応です。振込手数料相当額を売上に係る対価の返還等として処理することにより返還インボイスがなくともよいという措置です。振込手数料は通常10%ですが、もともとの購入が軽減税率の8%であれば、返還も10%でなく8%となります。
まだ始まる前の改正ですが、実務上悩ましい問題への配慮ではあります。
しかしながら今後のことも考えるとやはりすべての取引で適格請求書を入手して保管することがなによりも重要です。振込手数料などは入手不可能なので返還インボイス交付義務の緩和を使いましょう。
あるいはこの機会に振込手数料を先方に負担してもらうというお願いをしてもよいと思いますがいかがでしょうか?請求書に振込手数料を負担くださいと記載すれば通常は引かれずに入金されますのでこの機会に検討しましょう。