高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和6年4月 Vol.142
■定額減税(所得税)
3月中旬に会社、事業者あてに税務署から「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた」というパンフレットが送付されています。令和6年の所得税、住民税の定額減税の説明資料です。給与支払いを行う会社、事業者の方は定額減税の事務を行わなければならないです。
所得税の控除額は本人3万円、同一生計配偶者3万円、扶養親族一人につき3万円です。この扶養親族には所得税の扶養控除の範囲に入らない年少扶養親族も含まれます。
具体的には控除額(扶養がいなければ3万円)を6月以降の給与等の源泉所得税から控除していきます。この場合は累計で3万円に達するまで控除を続けます。控除が終われば通常どおり源泉徴収を行います。
たとえば毎月の源泉税が15,040円の方の場合は、6月は全額控除となり、7月は3万円―15,040円=14,960円が控除額となりますので、7月の源泉所得税は15,040―14,960円=80円となります。
月々の源泉税が3,000円の方の場合は6月~12月までの累計で3万円にならないので6月~12月まで所得税はずっと0になります。
■定額減税(住民税)
住民税は1人1万円が減税されます。控除対象配偶者や扶養親族がいればそれぞれ1万円づつ減税されます。基本的には会社が特別徴収ということで住民税も天引きしています。通常5月ごろに、6月から翌年5月までの1年間の住民税の通知が会社あてにきますが、今年は年税額から1万円引いた額を7月から5月の11回で割ります。6月の給与だけは住民税の特別徴収をしないこととなっています。
以上概要を記載しましたが、詳しくは税務署からの説明資料を読んでいただき対応をしていただきます。
ここからはいつもの「ぼやき」ですが、家計でいえば一番お金がなくたくさん借金があるお父さんが子供たちに一人3万円あげると言っているイメージです。
お父さんは借金を返せないので借金の返済は将来の子供たちに引き継がれます。国はお金がなく借金がたくさんあるのに定額減税を行いますが、この分も将来の税金負担になるだけです。
国民の大多数がこの制度に反対しているというアンケートもありました。もう一つ残念なのはこの実務作業が会社や事業者に押し付けられたところです。マイナンバーカードや口座登録はなんだったのだろうと思うのは私だけではないと思います。法治国家なので法律で決まったことには従いますが、会社や事業者に実務の負担をかける法律を作らないでほしいと願います。