高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和6年7月 Vol.145
■新紙幣と世界競争力ランキング
7月から新紙幣が発行されますが、20年ぶりだそうです。偽造防止が主目的とのことですが、偽造よりも新たな詐欺被害が心配になりました。旧札は使えないので新しい札に変えましょう、などといって、タンス預金をだまし取ろうとする輩が出てくる可能性が想定されるので、注意しましょう。
海外に比べれば日本の紙幣の偽造は少なく、直近10年では年平均1800枚と新聞には書かれていました。詐欺の被害のほうが件数も金額も圧倒的に大きいです。日本の紙幣は従来のものでも偽造がしにくくできています。
また、噂ではタンス預金を減らすようなことも言われていましたが、旧紙幣がそのまま使えるのであれば、タンス預金が減ることはないでしょう。
500円硬貨が変わったときに、駐車場システムや自販機などを変更しなかった業者が多く、新しい500円硬貨は使えないことが多いのですが、今回はすべての紙幣が変わるので、レジや券売機の変更は必要になりそうです。
問題は中小零細事業者の負担です。先日もインボイス対応レシートのために、レジの変更などの手間とコストがかかりました。今回も券売機などの交換などが必要になりそうです。いつものことで、政府は補助金を用意しているとのことですが、手間もかかるし全額補助金が出ることはないのでコストもかかります。
コロナの数年間でキャッシュレス決済が大きく進みましたが、紙幣はやはり必要です。せっかくなので抗菌素材にするとか、そういったアイデアもあってもよかったかもしれません。素材産業は日本の強みです。確かオーストラリアのお札はプラスティックでした。プラスティックのお札は折れたら戻らないという使い勝手の悪さはありましたが。
さて、新紙幣のことを書いていると、同じタイミングで世界競争力ランキングが発表されました。日本は38位で過去最低だそうです。
調べてみると、1989年から1992年ごろまではなんと日本は1位でした。30年でここまで低迷するとは本当にがっかりです。
ちなみに1位はシンガポールです。シンガポールは1965年にマレーシアから独立して建国まだ58年の国です。資源もない国でなにもないところからの出発で、世界1位の競争力というのは本当にすごいことだと思います。
私は1996年から2001年まで駐在していましたが、当時からシンガポールは政府主導で社会の変化などに国として対応したことを覚えています。
日本はなぜこんなに落ちぶれてしまったのでしょうか?円安も含め残念なことが多いですが、今回の新紙幣に使われているような世界最先端の技術が日本にはあります。ただし紙幣の技術はマーケットとしては汎用性がありません。
ある人が言っていたのは、韓国企業が強いのは国内の市場が大きくないので、最初からグローバルの大きな市場を見ているからとのことでした。さまざまな技術や政策が自己満足で国内だけのガラパコスになっていたり、目先の問題解決のためのいたちごっこが日本の特徴かもしれません。