高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和6年9月 Vol.147
■プッチンプリンとDX
だれもが知っているプッチンプリンですが、数か月間世の中から消えていたそうです。原因は江崎グリコの基幹システムの切り替え作業時のトラブルで、出荷データに不具合が生じたと書かれていました。チルド商品の出荷ができなくなり、この回復に2か月以上かかり、6月中間決算でも大幅な減益になりました。
ユニチャームでも5月に同様のトラブルがあったようです。それぞれSAPという統合化システムを旧型から新型に切り替えるタイミングで起きたようです。DXという言葉はよく聞きますが、このDXがプッチンプリンのなくなった原因とのことでした。
中小企業では会計ソフトや経費精算のシステムの普及は進むものの、在庫管理や生産管理に大きな課題を持っている会社も多く、これらはいまだにエクセル管理という会社も多いのが実態です。
各社それぞれの仕事の仕方にあわせて統合化パッケージを入れるのはハードルが高く、コストも高いのでこれらは大きな課題です。業務系のソフトで会社の仕事にあったものを見つけるのは至難の業です。
■2025年の崖
日本企業は、老朽化したシステムからスムーズに移行できずに国際競争力が低下する「2025年の崖」問題に直面していると報道されています。
経済産業省が2018年に指摘した問題で、ITエンジニアの不足から基幹システムを適切に保守運用できなくなる状況を指す。爆発的に増加するデータを活用できず、デジタル競争に敗れる恐れがあると経産省は警笛を鳴らしていたようです。
■日本独自の商習慣や制度の問題
私も使ったことはありませんが、よく聞くSAPなどの統合化パッケージの導入には、日本独自の商習慣が大きな課題になっているようです。
経理や決済のところでも、確かに日本独自のルールはいろんなところであり、海外のシステムを日本で導入できないようなことは実際にあります。インボイスがない場合に80%控除できる経過措置などの仕組みなどもその一例です。海外のシステムでは当然対応できない分野です。
また、これに合わせてカスタマイズすると別の問題が発生します。やはり法律やルールを作るときには複雑にしすぎないことです。日本ではさまざまな分野で事細かく制度やルールを設定する傾向がありますが、これによる弊害があるように思います。
一方、物の作り方や売り方には各社それぞれの工夫があり、本来はそのことが競争力の源泉ということもあります。
システムに仕事のやり方をあわせるのが本当にいいのかどうか悩ましい問題です。システムは仕事をするためのツールのはずが、システムのために仕事のやり方を変えるというのはどうかと思ったりします。
それにしても、DXがプッチンプリンに関係するとは思いませんでした。