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高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成26年11月 Vol.29
相続税が27年1月から増税となります。今回はこれに関連したトピックです。
■過度な相続税対策は危険
バブルのときにあった話です。「相続税対策をしないと大変です。」と提案され、お金を借りて不動産投資をすることがはやりました。不動産にすると相続税評価額を下げることが出来るためです。
ところが不動産運用に失敗して自己破産した人もいます。賃貸用不動産に空き室が目立ちはじめ、予定していた収益があがらなくなったのです。結果、銀行への元利返済が滞り最終的に自己破産となりました。相続税はもらった以上に払うことはありませんのでなにもしなければ自己破産などせずにすんでいたのです。
また最近過度な相続税対策という話を耳にするので書かせていただきました。
■住宅を共有名義にした場合の問題点
故人の住宅を相続してとりあえず遺産分割を兄弟で均等に行ない、登記を行なうというケースをよく見かけます。たとえば古い住宅で建物の価値はほとんどなく土地の価値が2000万円としましょう。相続税の基礎控除の範囲内なので相続税は申告も納税も不要です。しばらくして(仮に5年ぐらい)共有持分を解消したいという相談をときどき受けます。この場合は相続の時点で税金がかからなくても所得税や贈与税がかかるケースが多いので注意が必要です。
相続の時点で登記を行なわなければよかったのですがいったん登記を行なうとこれが正式な所有権の移転になります。後日所有権を再度移転するときに譲渡か贈与が必要となります。
仮に今回のケースでA、B、C、Dの4人で均等に1/4の500万円づつで分けた場合です。いったんB、C、Dも1/4づつ所有しますが、これを何年後かにAに譲りたいということです。B,、C、Dともに無償でAに贈与してもよいと考えますが、その場合はAのほうで贈与税がかかってしまいます。約470万円です。
贈与税を避けるために今度は売買ということを検討します。売却価格と取得価格の差額に対してB、C、Dが所得税・住民税を払わなければならないのです。取得価格が低い場合などでは各人がそれぞれ約100万円税額が発生します。
結論としてはとりあえずの遺産分割や登記をしないことです。いったん登記を行なうと取り消すことが出来ません。相続時の基礎控除までは無税なのでその有効活用をすべきです。この例でいえば当初からAさんを100%としておけば税額0でした。