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高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成27年11月 Vol.41
■売掛金管理
はじめにまた失敗談からです。今から20年近く前のアジア通貨危機のときでした。当時、前職でシンガポールに駐在しておりました。インドネシアの某上場企業へある商品が非常によく売れました。
私は財務責任者だったので信用条件は当初銀行の発行した信用状(LC)をもらうべきとしましたが、あるとき気づくといつの間にかLCでなく60日の与信を与えていました。それがずるずると滞留しはじめました。
タイで始まった通貨危機がインドネシアにも波及し、しかもインドネシアはもっとも通貨が暴落しました。1USD=2000ルピアだったのが、16000ルピアまで1/8に通貨価値が下がりました。USドル建ての売掛金だったので相手からすると8倍になり払えません。いろいろと努力しましたが、ほとんど貸倒になりました。
ダン&ブラッドストリート社(帝国データバンクのような会社)から信用レポートを購入し上場企業とはいえ財務内容の開示が不十分だったのでLC取引にすべきと決めたのはよかったのですが、いつの間にか与信取引になってしまいました。
一瞬にして通貨が1/8になるという不幸はありましたが、当初決めたLC取引をしつこく続けていれば貸倒は防げたと思います。貸倒をカバーするにはその何十倍の売上が通常必要です。たとえば利益率が10%であれば1億円の貸倒をカバーするには10億円の追加売上が必要です。
以下売掛金管理のポイントです。
(1) 与信管理の重要性
取引先の信用状態に合わせて回収条件を決めることと決めた条件を安易に変えないこと、またクレジットリミットを決めること、毎月必ず売掛残高を確認し、滞留しているものがないかチェックし、遅れているとすぐに督促をすることなど。
(2) 地道な回収管理がキャッシュフローをよくすること。
売掛金管理はキャッシュフロー管理と直結しています。売上があがっても回収するまでお金は増えません。前期末の売掛金+当期の売上-当期末売掛金が売上によるキャッシュインです。つまり売掛金が増加している場合は売上よりも入金額が少なくなります。そのため売掛金の残日数を○日以内にするなどの目標を設定している会社もあります。