高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成28年5月 Vol.47
■会社は社会の公器です!
先日、恩師(古希を迎えた方ですがいまだ現役で上場企業の常勤監査役)から原丈人さんの日経産業新聞記事をいただきました。原丈人さんとはシリコンバレーでベンチャーキャピタリストとして活躍された方です。原さんは英米型の企業統治に関して警鐘を鳴らし、会社が社会の公器となるために持続可能な経営が行われることを推奨しています。そのためには内部留保を潤沢にとり株価上昇を目標にしたり財務操作で短期的に自己資本利益率(ROEといいます)をあげることは不要としています。物言う株主が数100%の増配を要求したりしないような仕組みや4半期決算の開示にも問題提起しています。個人的にまったく共感できるので紹介しました。
原さんの記事は上場企業の話ですが中小法人でも将来の不確実性の備えのためにも内部留保を大きくすることを目指すべきです。つまり利益を大きくすることです。もちろん利益だけがすべてではなく従業員にも努力に報いる給与なども払ったうえでの利益であるべきです。また過度な節税で利益を小さくするといつまでたっても内部留保が大きくなりません。内部留保が大きくなると借入金も自然に減ってきます。
会社はだれのもの?と入社した初日に研修がありました。正解は株主のものですが株主だけのものではないと思います。ステークホルダーという従業員、債権者、お客様、仕入先などのためにもあります。中小法人では所有と経営が分離していないので株主=経営者のものですが、従業員や他のステークホルダーのことも考える必要があります。経営者だけがよければよいというものではありません。
英米型の株主至上主義も問題ですが、株主=経営者の中小法人でもなんでも経営者のためとなると長続きしません。努力に報いる給与を払い、また税金もきっちり払い、それでもなお十分な利益を出して継続していくのが会社の役割といえるでしょう。すべてのステークホルダーの利害は一致しませんが、ステークホルダー間のバランスをとりながら付加価値を提供し、成長し続けることが必要です。
会社の平均寿命が7年ぐらいと聞いたこともありますが人間と同じく70年以上を目指したいですね。