高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成28年9月 Vol.51
■「事件は帳簿で起きている」
KKベストセラーズから前川修満という方の本です。タイトルが気に入り購入しました。東芝・オリンパスなどの粉飾決算、三菱自動車などの偽装などが記載されています。怪しい数字が企業不祥事を物語るとされています。数年に1度は上場企業の粉飾決算が大きなニュースになり、なかなかなくならないですね。
■粉飾決算はどう見つけるか?
一般的に粉飾決算は赤字の会社の決算書を無理やり黒字にするために架空の売上や利益を計上することです。粉飾された決算書では異常に売掛金や在庫が多いことが特徴です。実際にない売上などを架空計上するときには相手科目として売掛金を帳簿上計上せざるをえないのですが実際にはそのような債権はないのでいつまでたっても売掛金として残ってしまうからです。そのため会社の数値を見るときは売掛金が売上に対し何か月残っているかを見ます。回収条件が末締めで翌月末であればちょうど1月分の売上に相当する売掛金が残っているのが正常ですが、架空売上の粉飾をしている会社の場合は半年近い売上に相当する売掛金が残っているようなこともあります。在庫も同様です。在庫が大きいと売上原価が少なくなるので実際にはない在庫金額が計上されたりすることがあります。
■なぜ粉飾決算を行うか?
この本にも書かれていますが上場企業の場合は社長の保身が粉飾の理由であることが多いようですが、中小企業であれば銀行借入のための動機が多いようです。
■一度するとやめられない
粉飾は一度するとやめられないのが最大の難点です。利益が足りずに架空売上を計上した場合、翌期にそれを取り消しすると翌期にその分マイナスが発生するためです。そもそも翌期に挽回できるような会社であれば粉飾はしないので一度した粉飾を是正することは難しいのです。
■粉飾決算はおことわりします
粉飾決算をしている方から仕事を頼まれることがたまにあります。残念ながらおことわりさせていただきます。粉飾決算をする会社はこのように市場から退場させられていくのです。