高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
平成28年12月 Vol.54
■モスフードとミスタードーナツ
11月7日の日経新聞「経営の視点」でモスフードの経営が好調との記事を見ました。「今の外食産業はお客様からちゃんとお代をいただけているのだろうか?食材費と人手不足による人件費の上昇、消費者の節約志向、業界を取り巻く環境は厳しく価格を上げる度胸はなかなかない。そんななかモスバーガーは消費税増税前の330円から370円に値上げしたが消費者に受け入れられている」と書かれています。消費者のモスへの期待はおいしさへの要望が大半だそうです。「お代とは原価に付加する価値の合計で消費者を唸らせる付加価値こそがデフレから一線を画する道ではないだろうか。」という記事でした。
早速モスフードとついでに日本マクドナルドの決算書を見ました。確かに28年3月期のモスフードは売上が前年比107%で経常利益は263%と好調です。日本マクドナルドは27年12月期で前年比売上85%でした。
経営の本にはよく3Cと書かれています。カンパニー(自社)、コンペティター(競合)、カスタマー(顧客)の3つのCです。モスフードの売上増加は自社の改善の効果もありますが、競合のマクドナルドのつまづきの影響も追い風のように思えます。顧客や市場の状況、競合の状況、自社の状況を総合的に考えて価格も決めるべきでしょう。
一方、翌日の新聞ではミスタードーナツが43のうち35の商品を10円~30円値下げとありました。最近はコンビニでもドーナツが並んでいます。記事ではコンビニドーナツの影響は軽微と発表されていますが競合環境は相当厳しそうという印象です。
売上金額は単価×数量です。売上を増やすには単価増か数量増かが通常必要です。単価を下げる場合はシェア増加などにより相当な数の数量増が必要となります。
マクドナルドが復活してきた感じがありますが今後もモスが好調を維持できるか、ミスタードーナツはその後どうなるかしばらくして結果を見てみたいです。すべての商売で景気よりも市場業界動向、競合状況の把握と対応が必要です。