キャッシュ・コンバージョン・サイクル|横浜市港北区鶴見区で税理士は 株式会社CFO 高橋和徳税理士事務所

キャッシュ・コンバージョン・サイクル|横浜市港北区鶴見区で税理士は高橋和徳税理士事務所

高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。

事務所通信

令和2年11月 Vol.101

■キャッシュ・コンバージョン・サイクル

これはCCCという指標で、現金を投入してから回収するまでの期間です。売掛債権回転日数と棚卸資産回転日数の合計から仕入債務回転日数を引いた数値です。回転日数とはそれぞれの残高を売上や原価で割った数値です。

9月8日の日経新聞でアパレル大手のワールドが不況への抵抗力を発揮しているという記事がありました。在庫管理を強化し、現金回収にかかる期間が百貨店アパレルのなかでも短いとのこと。これがコロナ禍での資金繰り不安の緩和と営業黒字の確保につながったとあります。

新聞では営業利益ベースで前期比20%減ながらも黒字を確保し、オンワードや三陽商会が赤字だったのと対照的としている。違いは資金効率を示すキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)にあるとのこと。

ワールドとオンワードのそれぞれの直近の有価証券報告書を確認しました。ワールドは売掛金28日、在庫39日、買掛金55日でCCCは12日でした(それぞれ売上の日数で計算)。オンワードは売掛金37日、在庫63日、買掛金28日でCCCは72日です。

たしかにワールドのCCCはすごい数字です。別の言い方をすれば必要運転資金は売上高の12日分ということもできます。オンワードの72日も決して悪い数値ではありません。運転資金として売上高の72日必要というのは通常です。ワールドの買掛金が多いのは取引先への支払いが遅いためです。

以前、元町のブティックを担当したことがあります。確か多額の返品がいつも計上されていた記憶があります。お店は多品種の商品を仕入れますが売れなければ返品もあるというスタイルでした。本屋さんなどと同じです。

今思うとこれらのスタイルがアパレル業界の在庫金額を大きくして資金繰りが悪くなる要因だったのかもしれません。キャッシュ・コンバージョン・サイクルが悪いということです。セールなどでは定価に比べてすごく割引が大きいのもこの業界の特徴です。つまり逆にいえば定価が高すぎる?ということかもしれません。

さてワールド同様に不況下でも頑張っているユニクロはどうでしょうか?ユニクロは商品管理のために1個10円もするICタグというRFIDをすべての商品につけて生産から物流、決済まですべてのサプライチェーンを管理しています。

きっと在庫も適正に管理され少ないだろうと思って有価証券報告書を見てみました。ところがユニクロは売掛金9日、買掛金30日ですが、在庫は65日でした。売掛金の少ないのはわかりますが、在庫は予想外でした。それぞれ売上に対しての数値ですが、商品の原価で計算すると在庫は127日分ありました。定番商品が多く店頭で商品が山積みされているので在庫が多いのかもしれません。

このように在庫と売上や原価を比較すると会社の特性も少し見えてくることもあります。一度自社のCCCを見てください。そこには事業特性や改善のヒントがあるかもしれません。

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