高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和4年11月 Vol.125
■暴落相場とインフレ本番はこれからだ!
明日香出版社より、さわかみ投信で有名な澤上篤人さんの本です。日本も含めた世界的なインフレが気になりますが、それに関連しそうなので購読しました。
先日も友人から「シアトル出張に行き、朝はベーグル、昼はフォー、夜はピザとビールで1日の食費が1万円もした。」と聞きましたが、アメリカのインフレは相当なようです。
この本でも過去40年間世界中でマネー膨れ経済があったとされています。オイル・ショック、コンピュータの2000年問題、911同時多発テロ、リーマンショック、コロナ禍の5回にわたり過剰流動性を積み上げてきました。実態経済の伸びをはるかに上回るお金の流通量の増加のつけがついに来たようです。
日本ではアベノミクス以降の金融緩和で日銀が保有している国債が500兆円を突破しているようです。国債残高約1000兆円のうち半分が日銀保有です。このうちの約400兆円は最近10年間に増えたものです。
ちなみに、昨年も書きましたが日銀はETFも35兆円所有しています。東証の時価総額の7%だそうです。日銀の国債購入により市中銀行を通じて通貨供給されています。日銀は国債を購入した代金を民間銀行が日銀に預けている当座預金として預かっているようです。金利が上がると大変なことになります。
もちろん国も同じです。1000兆円の借金があり、1%の金利上昇は3.7兆円の利払い増加だそうです。これではなかなか日本だけが金利を上げられないのがわかるような気がします。
よく国債は諸外国と違い国内で所有されているので問題ないという人もいますが、そうではないように思えます。
さてこの本では債券や株、不動産の暴落は避けられないと書かれています。
通貨の価値が下がりインフレが避けられないとすれば借金をしていたほうが得(返す額が少なくなるので)という考えもありますが、澤上さんは「金融緩和バブルの崩壊は時間の問題なので金融商品は売ってしまおう。残しておくのは長期投資で株式保有している投資勘定だけだ。」と書いています。
不動産も同様とのことです。「もし変動金利の住宅ローンを抱えているのなら、迷わず固定金利に切り替えておこう。」とされています。
この本のおちは、「金融緩和バブル崩壊後は澤上ファンドのような長期投資家と一緒の行動をしようではないか。人々の生活に身近な企業の株式を買うのだ。暴落相場で買うので大バーゲンハンティングとなる。」「大げさかもしれないが金融緩和バブルの崩壊は40年間の総決算となろう。その後は実態経済をベースとした当たり前の経済に戻る」と予言されています。
本の紹介で、信じるかどうかは各人の考えによりますが、私は異常な金融緩和と国や中央銀行の力任せの市場形成、国のばらまき政策には懐疑的なので澤上さんの考えが理解できます。もちろんそのようなことがおこらないことに期待しますが、どうなるでしょうか?