高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和5年8月 Vol.134
■中小企業の資金繰り
私が社会人になって初めての仕事が会社の「資金繰り担当」でした。バブルのさなかで企業のエクイティファイナンスが全盛期のころです。エクイティファイナンスによる多額の資金調達により会社には必要以上の資金がある時代の資金繰り担当者なので、足りない資金をどうするかではなく、余ったお金をどれだけ運用するかのほうでした。
今と違い高金利だったので少しでも多くの資金を長く運用すれば多額の利息が得られます。利息は金額×金利×期間なので、高い金利を求めることもありますが、それ以上に資金を滞留させずすべての資金を運用に回すことが重要でした。ここ数年の0金利では考えられない時代でした。
さて本題の中小企業の資金繰りは上記とはまったく異なり事業に必要な資金を確保するかです。赤字でも会社は倒産しませんが、資金がなくなり支払いができなくなると会社は倒産してしまいます。ではどうするかを考えましょう。
現金と借入を両建てにしておく。
いつでも借りられるならば現金を最小化するのが経営効率としてはいいのですがそうはいきません。なるべく多く借りて手元資金を厚くするべきです。特に0金利の状況では利息負担も少ないはずです。両建てにしておくといつでも返済は可能です。ただし借りたお金の無駄遣いは厳禁です。
毎年利益を出し続ける
赤字でも倒産しないと書きましたが、赤字が続くと資金がなくなります。黒字が資金増加の源泉です。また利益が出ると税金負担をさけるために節税として課税の繰り延べを行うこともありますが資金流出を伴うことが多いです。税金は払っても3割で7割は残ると思い会社に利益を留保することが重要です。
資産圧縮
売掛金、在庫の回転率を上げましょう。特に在庫は売れないときには損失になる可能性もあります。なんども紹介していますが発注の頻度を増やすことがポイントです。面倒なので多めに発注や物流コストの観点から多く発注するケースもありますが、資金繰りの観点からは少量で回数多い発注が望ましいです。
売掛金の管理も重要です。回収遅れはすぐに資金繰りに影響します。売掛金・在庫以外の固定資産も同様になるべく所有せずに借りることが資金繰りの改善となります。資産圧縮は資金増となります。
金融機関の選び方
中小企業は信用金庫との取引が基本です。毎月定期積金を行うと月に1度は会社にも来てくれます。そこでいろんな情報も入手可能です。地銀や都銀は優良企業にしか来てくれません。