高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和5年11月 Vol.137
■会社に多額の仮払金や貸付金はありませんか?
小さな会社によくあることですが、社長に会社とプライベートの区別がないため、会社の貸借対照表に多額の仮払金や貸付金がのっていることがあります。これは社長がプライベートな出金を会社の口座からしてしまうことなどに起因します。また毎月の給料をきっちりと支払いをせずに会社のあるお金を手取りの給料以上に使ってしまうケースもよくあります。
私の担当していたお客様にもやはり社長への貸付金が多くどうしても返済できない社長がいらっしゃいました。社長が会社から借りたお金を返済するには、もらった給料から返済するしか原資はありません。そこで年度初めの給料設定時に役員報酬を増額し、増額した分で借金返済しましょうと計画しましたが、それでも返済できませんでした。
ルーズな方はもらっただけお金を使ってしまいます。この社長は個人で会社以外からも多額の借入があり、最終的には自己破産されました。自己破産により過去の負債が免除され免責となりますが、自己破産はなるべくしたくありません。カードが作れない、ローンができないなどその後の生活への影響がまだまだ残ります。日本はまだまだ自己破産に対して厳しい状況です。
さて会社のほうですが、仮払金や長期貸付金が残っていると金融機関からの融資を受けるときにもマイナスの要素となります。特に既存の銀行借入金がある会社で、社長への貸付金がある場合は、銀行から借りたお金を社長が個人で使ってしまっているとみられ、迂回融資のようになっています。税務調査のときも多額で長期間残っている仮払金は使途不明金という扱いをされてしまいます。
会社のお金と社長のお金をきっちりわけておくとこのような問題はおこりません。会社のお金と社長のお金の区別がつきにくい方は今からでもお金の管理の方法を変えませんか?難しいことではありません。財布を2つもつだけです。
さて社長の使い込みによる仮払金以外にも帳簿に仮払金がたくさん残っている会社もたまにみかけます。社内で使われたお金の内容が経理部門で把握できなく放置されているようなケースです。これも問題です。社内でのお金の使い方にルールがないことや、経理部門が弱いこと、社内のコミュニケーションがないことなどによります。
インボイスや電子帳簿保存法など難しいことを要求されますが、もっと前段階でやることがたくさんありながらできていないのが中小企業です。いろいろとやることがありますがお金の管理も重要なことなのでよろしくお願いいたします。