高橋和徳税理士事務所が毎月お送りするレポートです。
事務所通信
令和6年2月 Vol.140
■社会課題と新規事業
今回は久しぶりに本の紹介と、それに関連して社会課題と新規事業について少し触れてみたいです。
まず本のほうですが、楡修平さんの「食王」という小説です。楡修平さんの本は昔から好きでかなり読んでいますが、この食王という本では築地の老舗の鮨屋さんが新規事業を始めるというストーリーです。
わけあって飲食店向けの不動産を購入したものの、飲食店には不向きな場所でした。発想の転換でビルをすべて一定期間地方の飲食店に貸し出しをするポップアップストアをするという内容でした。それにより地方の飲食店のアンテナショップが都心にでき地方の飲食店の再生のきっかきになるというストーリーです。
非常に読みやすく面白い本なのでお勧めです。楡さんは他の本でも疲弊した地方をどのように再生させたいかという案を紹介されていますが、社会課題の解決に向けた新規ビジネスの提案を本のなかでよくされています。おそらくご自身が地方出身であることや実際にされていた物流関連の仕事の課題解決のアイデアが多いです。
話は変わりますが物流に少し関係する話題です。
先日ニュースで見ましたがフランスの郵便局が試験的に顧客のネットショップで購入した洋服を郵便局で受取を行い、その場で試着できるサービスを始めたようです。
服を試着してサイズが合わない場合はその場で返送するので購入者にとって非常に利便性があるとのことでした。郵便局にとっても配送が不要なので人件費が削減できるというメリットがあるようです。
面白いアイデアなのでネットで調べると今後は衣類や靴以外にも電化製品などにも試用ができる設備を整えるという記事も見かけました。経営的にみると場所代と人件費との比較でどう判断するかといったところです。
日本でも郵便局の経営問題が昨年あたりからかなりよくニュースで言われていますが、定額の郵便料金で過疎地に配達する配達コストなども大きな課題のようです。
そのため配達日数を減らしたり、今年の秋には大きな料金の改定も決定していますが、郵便局の問題には地方の過疎化の課題対応も含め本来の公的サービスの負担が経営のなかで吸収していかないといけない課題が避けられません。
もともと公的なサービスを行う組織が郵政改革により民営化されて現在にいたりますが、根本的な課題を解決できていないと思われます。単純に補助金などで解決しようとするとまた税金の問題になりますし、一方では今のままでは公的サービスの要素が負担になりすべてのお客に負担をかけるという構図になっています。難しい問題です。
また今年は2024年問題と言われ物流関連の方は大変な年になりそうですが、地方の問題と物流の問題、郵便局の課題など今回はこの本とニュースをきっかけにいろいろと考えさせられました。フランスの郵便局のようにコンビニなどの固定店舗でネット買い物の受けて取りなどがこれから増えてくるような気がします。